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パリのノエル

column | 2016.12.14

パリの街は11月半ばから早くも大通りにイルミネーションが点灯し、大手百貨店のノエル(クリスマス)のウィンドーデコレーションが始まり、12月に入ると一気にノエル・モードが加速します。

百貨店ボン・マルシェのウィンドウは、今年はこんな感じ。空から舞い降りる雪のひとひらが白いまん丸坊主になって楽しい踊りを踊ったり。

ノエルには贈り物がつきもの。若いパリジャンたちはどんなものを選ぶのか、コンセプトストア《Sept-Cinqセット・サンク》を覗いてみました。

店名の《セット・サンク》とは数字の7・5のことで、パリの郵便番号を意味しています。ここはパリとパリ近郊で製作しているクリエイターや小さなアトリエの商品だけを厳選してセレクトしているのです。オーナーのオードレイにオススメを聞きました。

「このスカーフは輪っかになっていて、頭からかぶって2重に巻くだけで簡単にさまになるの。するりと首から落ちる心配もありません。アトリエ《Meilleur Ami》の製品で、青いシルク地に赤い斑点とクロワッサンをちらしたタイプはこの店だけの限定商品なんですよ」

エッフェル塔モチーフのアクセサリーは、東京生まれでパリ18区在住のクリエイターFusakoによる《Chic Sick Chic Paris》のもの。よく見るとエッフェル塔の上部がポッキリ折れて傾いています!「これはパリにやって来ていいこともあったけれど、心が折れるような出来事もあったというクリエイター自身の実感を表しているんです。面白いでしょう?」

「《T Collection》の紅茶の、ノエルのためのスペシャルブレンドもオススメです。煎茶にヴァニラ、アーモンド、オレンジの皮などが入って、ほんの少しスパイシーな香り。それから《Season Paper》の紙製品も人気がありますよ。元テキスタイルデザイナーが立ち上げたブランドで、ポエティックだったり、やや滑稽だったりする様々なモチーフの一筆箋などは贈り物にぴったりじゃないかしら?」

店内にはサロン・ド・テも設けてあり、お茶や軽食も楽しめます。甘くないタルト(タルト・サレ)やキノアのサラダ、スコーンやケーキなどはすべてこの店内で手作りされているもの。ノスタルジックなヴィンテージの器でサーブされるのも、気が利いています。

オードレイはどんなノエルを過ごすのでしょうか? 訊いてみました。

「いつもギリギリまで仕事をして、12月24日に家族や親戚が集まる田舎の家に大慌てで出かけます! 叔母が手作りするフォアグラや牡蠣、七面鳥のローストが大体うちの定番ね。牡蠣の殻を開けるのはおじいちゃんの役目。弟はパティシエなので、毎年ブッシュ・ド・ノエル(切り株の形をしたクリスマスケーキ)を作ってくれます。みんなそれぞれ役目があります。私? 私は最後に到着して食べる役目!(笑)」

「母はみんなの贈り物を綺麗な紙でパッケージするのが大好きな人。その血を受け継いでか、私も包装紙やリボンを見るとワクワクするわ。今年はこんな風に白い紙を使って、雪の白を想像させるシンプルな包みにしてみました。大きなクリップとクラフト紙の荷札、細い紐だけでもちょっと素敵でしょう?」

暖炉のそばのもみの木の下に贈り物を置き、翌朝起きてから包みを開けて、ありがとうを言い合うのだとか。暖まったもみの木からはとてもいい香りがするのだそうです。

もみの木といえば、11月最終週ぐらいから、パリのほぼすべての花屋さんの店先がたくさんのもみの木でいっぱいになります。もみの木に幾つか種類があるって知っていましたか? その辺りを18区の人気花店《Mémé dans les Orties メメ・ダン・レゾルティ》に聞きました。

「お客さんは部屋の広さに応じて、もみの木の高さを選びます。枝があまり横に広がりすぎるのが嫌な人もいますし、枝が多く茂っているのが好きな人もいます。一番良く売れるのは「ノルマン」という一般的なタイプで、比較的横にも大きく広がっているもの。より香りがいいのが「エピカ」という種類ですが、葉が落ちやすいのが難です。最近流行っている新しいタイプが「フレズリ」で、とても香りが良く、背が高くほっそりしているので、場所をとりません」

左が「ノルマン」、右のネットに入っているのが「フレズリ」。ちょっとあまり見分けがつきませんが……。

葉っぱをこすった指を鼻に近づけると、「フレズリ」は圧倒的に香りが強いです。

あまり手を加えず、自然のままの植物を愛する店なので、リースもシンプル。ピンクペッパーの実をゴールドに染めた花材で作られたリースは、レースのリボンのみのシックなアレンジ。

普段から赤い花が大好きだという、オーナーのヴァレンティーヌとパトリシア。今日はパトリシアがノエルのブーケを作ってくれました。

赤い実の枝にイラクサを数種、スキミア、濃いボルドーのカーネーション、サーモンピンクのラナンキュラスなどを合わせて、こっくりとした色調の大人っぽいブーケに。

道に張り出し、お隣さんの敷地も使い、もみの木の大売り出しはこれからが本番。ちなみに近所のお客さんはそのまま自分で持ち帰り、車で来た人には機械でネットをかけてコンパクトにして渡します。もちろん配送サービスもあるそうです。一番小さい、高さ50センチぐらいのもので22ユーロから。

17時にはもう日没、すっかり暗くなった街のイルミネーションを眺めながらの夜の散歩も楽しいです。有名ではない、ちょっとした商店街にも可愛らしい電飾飾りがあったりして、辻々で出会うとハッと目を奪われます。 ではJoyeux Noël、そしてBonne Année !

《Sept Cinq》26, rue Berger (Forum des Halles) 75001 Paris ☎09 83 00 44 01 10:00〜20:00(日〜19:00)無休 12/24,25,26,31, 1/1,2 休み 《Mémé dans les Orties》12, rue Ramey 75018 Paris ☎09 72 43 14 37 10:30〜20:30(日11:00〜19:00) 年末年始休み

TEXT Mari Matsubara PHOTO Mana Kikuta